「先生にぜひ読んでほしい」すごくわかる著作権と授業

Chapter 2

授業における著作権

section

01

授業と著作物

ここでは授業で第三者の著作物を扱う際に、どんな法律上のきまりがあるか、その内容や用語の定義、および授業で著作物を扱う際のフローについて説明します。

授業で扱う著作物

隅木

授業で第三者の著作物を扱うのは、どういう場面がありますか?

小中

プリントに文章とかイラスト使ったり……

大院

おれは、授業で見せるスライドの中で使うことあるな。後はLMS(Learning Management System:学習支援システム)で、資料配布したり。

隅木

小中先生は板書したり、読み聞かせしたりもありますよね。

小中

あ、それも著作権が関係するんですか?

隅木

板書は複製権、読み聞かせは口述権、LMSで資料を配布するのは複製権と公衆送信権が関係あります。

大院

「1章 section04 著作権とは」で、Webサイトを見ながら操作をするのは公の伝達だと言われた。

隅木

それもありますね。あと、授業でなにかの映像を流すこともあると思いますが、それは上映権になります。

小中

いろいろな権利が関係あるのですね。

「1章 section04 著作権とは」で、利用可能な著作物や「権利制限」について説明しました。授業で第三者の著作物を扱う時は、下の【授業で著作物を扱う時のフロー図】のような確認が必要となります。

【授業で著作物を扱う時のフロー図】
それは著作物である場合。パブリックドメイン、ライセンス(CC、利用条件)でOKであれば利用可能。OKでない場合、権利制限が適用可能かどうか確認(30条から47条の5)。適用可能な場合、利用可能。適用不可の場合、許諾を取るか諦めるかを判断する。

権利制限規定がたくさんありますが、授業では「引用(32条1項)」「学校その他の教育機関における複製等(35条)」「営利を目的としない上映等(38条)」をおさえておくとよいでしょう。

先程の例で言うと、授業で読み聞かせたり、映像を見せたりするのは、38条を適用できる場合が多いと考えられます。

32条と35条について、以降で詳しく説明します。