Chapter 5
著作権クイズ
著作権法の目的は、次のうちどれでしょうか?
解説
著作権法の目的は、著作権法の1条に書かれています。
1条
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
次のうち、著作権法において「著作物」とされるのはどれでしょうか?
解説
著作権法における「著作物」の定義は、著作権法2条1項1号に書かれています。
2条1項1号
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなくてはならないため、単なる事実である1と2は著作物にはあたりません。4も事実を撮影者の個性が表れる余地なく録画しているだけのものになりますので、「創作的に」表現したものではなく、著作物にはあたりません。
次のうち、著作権法において「職務著作(法人著作)」になり得るのはどれでしょうか?
解説
職務著作であるためには、法人などの「業務に従事する者」が職務上作成し、「公表」する場合にその法人等の著作名義で公表するものであることが必要です。よって、個人名義での公表である1はあてはまりません。また、プログラムの著作物の場合、公表の名義は問いませんが、法人などの「業務に従事する者」が職務上作成することが必要ですので、3は条件をみたしません。4はその法人の業務に従事する者ではないので、これも当てはまりません。(15条)
ある小学校のクラスの卒業制作で、全員で大きな1枚の絵を作成しました。こういう絵を「共同著作物」と言います。次のうち、共同著作物に関する記述で正しいものはどれでしょうか?
解説
共同著作物については、著作権法2条1項12号で定義されており、二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいいます。その著作者人格権については64条、共有著作権については65条2項で定められているとおり、全員の合意がないと権利を行使することができません。
次のうち、著作権法の著作者人格権の1つである「公表権」の侵害となるのはどれでしょうか?
解説
公表権については、著作権法18条に定められているとおり、未発表のものをいつどのようなかたちで公表するかは、著作者の権利であり、他の人が勝手に公表することはできません。
次のうち、著作権法で定められていない権利はどれでしょうか?
解説
商標権については商標法で定められています。
次の説明のうち正しくないものはどれでしょうか?
解説
貸与権とは「その著作物をその複製物の貸与により公衆に提供する権利」です。(26条の3)
1は「譲渡により」と書かれているので、誤りです。
著作者が自身の著作物に対し権利を保持しつつ、他者が特定の条件下で利用できるようにするものを何と言うでしょうか?
解説
1は、著作権の保護期間が切れたり、著作権者が権利を放棄したりしたものです。
3は、(C)のようなマークで、そのマークの後に著作権者の情報を記載するものです。
4は、著作権法で著作権者の権利を一定の条件を元に制限している規定を指します。
よって、2が正解です。
次の著作権又は著作隣接権の保護期間の説明について、正しくないものを選んでください。
次のうち、許諾なく行っても著作権侵害にならないのはどれでしょうか?
解説
画風はアイデアのようなもので、著作権はないとされています。
次の行為を著作権者の許諾なくおこなった場合に、著作権法における『引用』として認められないものはどれでしょうか?
解説
引用については著作権法32条1項に定められているとおり、「公表された著作物」でなければ引用することができません。
生徒が先生に提出しただけでは「公表」には当たりませんので(4条)、引用することはできません。
次のうち、著作権法35条1項で権利制限が規定されていない権利はどれでしょう?
次のうち、著作権法35条運用指針において『授業』にあたらないものはどれでしょう?
解説
運用指針において、初等中等教育の「特別活動」は「授業」に該当するとされています。これにより、1と2は「授業」にあたります。
大学の公開講座も「授業」にあたるという記載があり、3は該当しない例に挙げられているため、3が正解となります。
次の行為を著作権者の許諾なくおこなった場合に、著作権法35条を適用できないものはどれでしょうか?
解説
1については、35条1項の複製の権利制限を適用できます(複製物の配布については47条の7)。
2については、初等中等教育機関の特別活動は、35条1項の「授業」にあたることが運用指針に記載されているため、文化祭も「授業」にあたり、複製が可能となります。
3については、大学でのサークル活動が35条1項の「授業」にあたらないことから35条1項を適用できません。なお、入場料をとっていることから、38条1項の非営利の上映も適用できないことから、著作権者の許諾が必要です。
4については、オンライン授業内で映画の一部を公衆送信していることから35条1項を適用できます。なお、32条1項の引用に該当する余地もあるでしょう。
次のうち、著作権法に基づき、著作権者の許諾を取らずに行うことができる例はどれでしょうか?
解説
1については、本来購入して使用すべきものであり、著作権者の利益を不当に害すると考えられます(35条1項ただし書き)。したがって、35条1項を適用できません。
2については、35条1項、38条1項の権利制限を適用できます。
3については、未公表の論文を引用することはできないため、学生の許諾が必要です。(32条1項)
4については、共有著作権では、共有者は他の共有者の合意がないと改変することはできません(64条1項)。共有著作権では、共有者は他の共有者の合意がないと権利を行使できません(65条2項)
著作権法における「引用」に必要な条件ではないものはどれですか?
解説
2について、引用の必然性が必要とする見解もありますが、現在の通説としてはそれを独立の要件とはしていません。32条1項の要件として、「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で」ある必要がありますが、引用の必然性までは求められていません。
著作権法における「引用」について、正しい記述はどれですか?
解説
著作権法47条の6第1項2号に、32条により著作物を利用できる場合には翻訳ができる旨が規定されています。
次のうち、公の伝達に該当するものはどれですか?
解説
「公の伝達」は、公衆送信されている著作物を受信装置を用いて公に伝達することを指します。(23条2項)よって、3が正解です。
1は複製と上映に、2は複製と公衆送信に、4は公衆送信にあたります。
公衆送信についての説明で間違っているものはどれですか?
解説
1については、「公衆」とは、不特定の者だけではなく、「特定かつ多数の者を含む」とされています(2条5項)。特定かつ少数の者は「公衆」に当たらないと解釈されています。
2については、同一構内における送信は除くとされています。(2条1項7号の2括弧書き)なお、プログラムの著作物については同一構内であっても公衆送信となります(2条1項7号の2括弧書き内括弧)。
3については、「自動公衆送信」とは「公衆からの求めに応じ自動的に行うもの」と定義されており(2条1項9号の4)、主にインターネットへアップロードし、閲覧者が任意の時点で閲覧することによる送信が該当します。他にも、たとえば、通信カラオケ事業者によるカラオケボックスへの配信なども該当します。
4については、著作物を自動公衆送信可能な状態にすることを「送信可能化」と定義されており(2条1項9号の5)、送信可能化を行うことも公衆送信権に含まれます(23条1項)。
著作権法35条1項ただし書きにある「著作権者の利益を不当に害する」場合に、明らかに該当するのはどれでしょうか?
解説
問題集など購入して使用することが前提となっているものから複製して練習用プリントを作ることは、学生が購入せずともすむような使い方になり、著作権者の利益を不当に害すると考えられます。